データの整理
(サムネイル・インデックス) その1


① 衛星データの整理は、ほんとうにやっかいな問題です。デジタル写真のサムネイルのように、小さくても被写体がすぐにわかるような画像なら、さして問題はないでしょう。
 しかし衛星データの場合は、そうはいきません。各Bandの画像データは、どれもこれも真っ黒か、失敗した墨絵のような画像ですから、いったいどのエリアをカバーしているものなのか、まったくわかりません。
 標高データ(DEMやDSM)にしても、同じです。画像によっては、わずかに地表の高低らしきものは見えますが、それがどの地方か判断することはできません。

 JAXAによる「ALOS」、MADAS(産総研)の「ASTER」、米国USGSが提供する「LANDSAT」のデータも、ダウンロードしたフォルダには、地名が記されているわけではありません。内包されているメタ・データには、緯度経度などの情報が満載ですが、フォルダ名にはアルファベットと数字がならぶ「シーンID」が記されているだけです。したがってそれだけ見ても、どこの地域のデータなのかは、やはりわかりません。

 多くのユーザーは、地域名などをつけたフォルダを用意し、各サイトからダウンロードしたファイルをまとめて収納しているのが一般的でしょう。複数Bandを合成したり、必要な部分だけ切り出して解析処理した作業結果なども、一括してそのフォルダに収めていると思います。

 しかしこうしたやり方をしていると、作業をくり返しているうちに、データのオリジナルの状態がわからなくなってしまうことがめずらしくありません。解析処理によってせっかくいい結果が出ていても、自分がどのBandのデータを、どんな状態で組み合わせたのか、わからなくなることもしばしばです。いわば、いろんな野菜や魚介の「煮込み状態」で、どの素材をどんなタイミングで入れたか、どんなダシを加えたのかが、調理した本人もわからなくなるのです。

 こうなるとこまるのが、解析の再現や、ヒストグラムのパラメータなどをかえてやってみたいときです。フォルダ内は「煮込み状態」ですから、もうオリジナル・データではありません。
 そこで、あらためて各機関のサイトにアクセスして、必要なシーンを探して出してはダウンロードすることになります。これでは時間も手間もかかり、あまりにも無駄が多すぎます。

 衛星データにかぎらず、書籍や書類、メモなどは、自分なりのルールを決めて整理しておいたほうが効率的です。

②データの整理方法を紹介します。
「サムネイル・インデックス」と称して、私がふだんやっている方法です。
 10年ほどのあいだ、効率的な整理のためにと、2種類の高価なデータベース・ソフトのほか、いくつかのフリーウェアを試してきました。たどり着いたのが、ここで紹介するやり方です。

 下の図は、各種データのサムネイルです。図1は、Landsat 8 のBand合成による、トゥルー・カラー画像。図2は、JAXAのDSM「AW3D」を可視化した画像。図3は、JAXAの「ALOS/PALSAR(合成開口レーダー)」による地表の凹凸と植生域のデータを合成し、可視化したものです。

 いずれのサムネイル画像も、ファイル・サイズは200KB以下の小さなものです。しかしLandsat 8 のサムネイル画像では、データの範囲はもちろん、地表の状況も雲量もはっきりと確認できます。DSMやPALSARの画像も、データの範囲やおおよその地形は判断できます。

Pasted Graphic
図1         図2         図3

※ これらのサムネイルは、オリジナルのフォルダに入れておきます。


③ サムネイルのファイル名には、エリア名やデータ利用の目的など、ユーザーである自分にとってわかりやすいキーワードを書き込んであります。
 たとえば 図1の Landsat 8 データは、「”縄文”時代の”関東平野”における海岸線の再現、とくに”群馬”県南部と”埼玉”県内について」調べるためにダウンロードしたものです。また、”夏季”に観測されたデータです。したがってそれらの単語をすべて、下に示すように、キーワードとしてならべています。

「Sat_kantoh-heiya_gunma_saitama_summer_johmon」

◯ ファイル名の先頭にある「Sat_」とは、「satellite(衛星)」の略称です。これがあるだけで、検索の範囲を絞り込むことができます。
 検索するときには、「Sat_」に続けて上記のキーワードの1つ、あるいは複数をならべて入力すると、関連する衛星データだけがヒットします。

④ サムネイルの画像上には、それぞれのデータの「シーンID」が書き込まれています。オリジナルのデータが破損した場合にも、この「シーンID」があれば、各機関の膨大なアーカイブスから、かんたんに同一データを検索することができます。


 以上が、「サムネイル・インデックス」の全体像です。

「サムネイル・インデックス」を作るための、リサイズ用ソフトの使い方については、以下のページにあります。

データの整理「サムネイル・インデックス」 その2:MacOS X用。
データの整理「サムネイル・インデックス」 その3:Windows用。



◯ 次は、「サムネイル・インデックス」を作る準備です。


⑤ 例として使用する衛星データは、USGSの「LandsatLook Viewer」からダウンロードした、Landsat 8 のファイルです。

⑥ ダウンロードして解凍したフォルダのなかは、図4のように、Band1からBand11、そしてBQAという12のファイルと、メタ・データのテキスト・ファイルがならんでいます。
 フォルダ名は、下記のとおりです。

「LC81070352015090LGN00」

⑦「EISEI」あるいは他のソフト(MultiSpec)を利用して、Band4、Band3、Band2のデータを合成し、トゥルーカラーの画像ファイルを作ります。
 ファイル名は、合成したBandがわかるように、下記のようにします。
「LC81070352015090LGN00_B432.tif」
(Band4の”ファイル名”をコピー&ペーストし、最後に3、2をつけるとかんたんです)

 標高データ(DSM、DEM)やPALSARのならば、陰影により地形が判別できるようにしておきます(図6、図7)。

 以上で準備は完了です。
           2016年10月25日 中野 不二男